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モノクロ写真をフィルターを使って撮ってみよう [スタッフRの「撮影に行こう」]

こんにちは、スタッフRです。
以前の記事でモノクロフィルム*1を使った撮影について書きましたが、そのときちらっと「モノクロ用フィルター*2の使い分け」と書いたのを覚えている方がいるかもしれません。
というわけで、今回は「モノクロ用フィルター」について。
といっても、フィルムを使うと結構お高くなってしまうので、今回はデジタルカメラ*3で撮影した写真をベースに書いていこうと思います。
(若干難しい話になってしまいましたが...)
なお、撮影にはリコーの「GR」を使い、RAW現像*4・調整には「SILKYPIX Developer Studio Pro 7」を使用していますが、カメラやRAW現像ソフト・レタッチ*5ソフトは特に決まりはありません。

目次


  1. 「モノクロ用フィルター」とはどんなもの?
  2. 「モノクロ用フィルター」を使って風景を撮ってみた
  3. 「モノクロ用フィルター」を使って花の写真を撮ってみた
  4. 「モノクロ用フィルター」の種類と撮影時の注意点
  5. まとめ


1. 「モノクロ用フィルター」とはどんなもの?


まず、「モノクロ用フィルター」と聞いて、どんなものかわからない方も多いのではないかと思います。
「モノクロ用フィルター」とは、文字通り「モノクロ写真」の撮影で使用するフィルターです。
見た目はこんな感じで、色の付いたフィルターです。

161129-00-monofilter.jpg

今回はこの3枚の「イエロー(Y2)」、「オレンジ(YA3)」、「レッド(R1)」のフィルターを使用しました。
使用したのはそれぞれケンコー・トキナーの黒白用フィルター「Kenko MC Y2」「Kenko MC YA3」「Kenko MC R1」です。
初めて見る方は「こんな濃い色なの?」と思うかもしれませんね。
実際にフィルターを通して見ると、フィルターの色に染まった世界が見えます。
カラー写真では(色彩効果や特殊効果を除き)まず使うことがありません。

2. 「モノクロ用フィルター」を使って風景を撮ってみた


まず、こちらは普通に撮影したカラー写真です。

161129-01-park-nofilter.jpg

そして、実際にフィルターを通してカラーで撮影したものはこのようになります。
ホワイトバランス*6は固定しておく必要があります。

161129-02-park-yellow.jpg

161129-03-park-orange.jpg

161129-04-park-red.jpg

Y2フィルター、YA3フィルター、R1フィルターの順です。
見事にフィルターの色味が反映されていますね。

それぞれ並べると、こんな感じです。

フィルター無 Y2フィルター
161129-01-park-nofilter.jpg 161129-02-park-yellow.jpg
YA3フィルター R1フィルター
161129-03-park-orange.jpg 161129-04-park-red.jpg


それでは、先ほどの写真をモノクロにしてみます。
まず、普通に撮影したカラー写真をモノクロ化したものです。

161129-05-park-nofilter-m.jpg

そして、実際にフィルターを通してカラーで撮影したものを、モノクロ化。
後述しますが、モノクロ用フィルターを通すと露出*7も変わりますので、ここでは木の幹を同じくらいの露出に調整しています。
また、フィルターの効果をわかりやすくするため、彩度*8を0にしてモノクロ化しました。

161129-06-park-yellow-m.jpg

161129-07-park-orange-m.jpg

161129-08-park-red-m.jpg

先程と同じく、Y2フィルター、YA3フィルター、R1フィルターの順です。
並べると、こんな感じです。

フィルター無 Y2フィルター
161129-05-park-nofilter-m.jpg 161129-06-park-yellow-m.jpg
YA3フィルター R1フィルター
161129-07-park-orange-m.jpg 161129-08-park-red-m.jpg


特に空の濃さが大きく違いますね。
フィルターの無い状態では、空は明るいグレーで、右の雲とのコントラスト*9も弱いですね。
Y2フィルター、YA3フィルター、R1フィルターの順に空が濃くなり、雲とのコントラストも強くなっていくのがわかります。
このように「モノクロ用フィルター」は「コントラストの強調」をすることができます。
一般的な風景であれば、ちょっと暗くなるくらいのY2フィルターで十分でしょうか。
どんよりとした雲を印象的にしたいような場合や、不安感を煽りたい場合などは、コントラストが強烈になるR1フィルターがよさそうです。

では、なぜ空の色だけが変化したのでしょうか。
モノクロ用フィルターを通した光は、波長によって透過特性が異なります。
特に今回使用した3種類は、それぞれの色の波長以下をカットする特性を持っています。
可視光線を波長の順に色で表すと、紫~青~緑~黄~橙~赤の順に波長が長くなります。
つまり、Y2フィルター(黄)、YA3フィルター(橙)、R1フィルター(赤)の順にカットされる波長の範囲が広くなっています。
青空は、元は太陽光で、青い光を中心に、他の色の波長も連続的に含んでいます。
光を最もカットするR1フィルターが、一番青空を暗くすることができるわけですね。

3. 「モノクロ用フィルター」を使って花の写真を撮ってみた


さて、青空以外についても考えてみましょう。
小学校で習ったように、ほとんどの物は光を反射することでその色に見えています。
例えば「赤い花」であれば赤い光を反射し、「緑の葉」は緑の光を反射しています。
「白い紙」だと可視光線全てを反射し、「黒い服」はほとんどの光を吸収しています。
ここで、次のような写真を撮影してきました。

161129-09-sazanka-nofilter.jpg

メインの被写体はサザンカの花。タイトルを付けるなら「紅一点」でしょうか。
文字通り、サザンカの花が鮮やかで、とても綺麗です。
残念ながらあまり多く咲いていなかったというのもありますが、ワンポイントで撮影してみました。
ところが、これをモノクロ化すると、こんな感じに。

161129-10-sazanka-nofilter-m.jpg

「サザンカの花」と「葉」そして「枝」が、ほとんど同じ濃さになってしまいました。
作り物のような雰囲気にするならいいですが、メインとしたい「サザンカの花」の紅一点さがまったく感じられません。
明るさの度合いに色の情報は含まれていないため、「違う色」で「同じ明るさ」のものがあると、まったく同じ濃さになります。
ここで「人間が感じる鮮やかさ」と「実際の明るさ」は異なるというのもポイントです。
そこで、R1フィルターを取り付け、同じように撮影。
露出は枝の辺りが同じくらいとなるように調整しています。

161129-11-sazanka-red.jpg

当然赤くなるわけですが、このままでもモノクロ化したときにどうなるか分かりそうです。
「サザンカの花」=「赤い花」は赤い光を多く反射していますので、花から反射した光はフィルターを通過し、明るくなります。
そして、「緑の葉」はあまり赤い光を反射していないため、フィルターを通過する光が少なく、暗くなります。
これをモノクロ化すると、当然こんな感じに。

161129-11-sazanka-red-m.jpg

狙い通りに、メインの被写体である「サザンカの花」が明るく、それ以外が暗くなりました。
並べると、かなりの差です。これならタイトルを「紅一点」としてもよさそうです。

フィルター無 R1フィルター
モノクロ変換前 161129-09-sazanka-nofilter.jpg 161129-11-sazanka-red.jpg
モノクロ変換後 161129-10-sazanka-nofilter-m.jpg 161129-11-sazanka-red-m.jpg


モノクロ用フィルターを有効活用してメインの被写体を際立たせることで、視線誘導*10を行うことができますね。
撮影後のレタッチで「色抽出」を行い、メインの被写体だけ鮮やかにするのと同じような感覚です。

基本的に、人間の眼は色のある世界を見ています。
一方、モノクロ写真の世界は「モノクロ」すなわち「単色」の世界です。
一般的には「モノクロ写真」=「白黒写真」ですので、「白と黒の濃淡」だけで表現されることになります。
つまり、モノクロ化した後には白黒の濃淡しか残らないので、いかに色を割り当てるか、コントラストを強調するかがポイントになるというわけです。

4. 「モノクロ用フィルター」の種類と撮影時の注意点


「モノクロ用フィルター」は、用途別に分けると次のようなものがあります。
・色彩強調、コントラスト強調用
Y(イエロー)、YA/O(オレンジ)、R(レッド)
・色彩強調用
PO/G(グリーン)
・赤外撮影用
R72など


イエロー(Y)、オレンジ(YA/O)、レッド(R)の3つは光の透過特性が急峻で、それぞれのフィルター色の光の波長よりも短い波長の光をほぼ完全にカットすることができます。
イエロー(Y)、オレンジ(YA/O)、レッド(R)の順にカットする範囲が広くなるため、コントラストも強くなります。
今回の例のように青空と雲のコントラストを上げたり、緑の中の花を目立たせたりすることができます。
また、短い波長の光は散乱しやすいためコントラストが下がりやすく、特にフィルムカメラではこれらのフィルターがよく使われていました。
モノクロフィルムが主流の時代、一般的な撮影では適度なコントラストのイエローが常用フィルターとされていました。
今回は使っていませんが、これに対してグリーン(PO/G)は比較的なだらかな透過特性のフィルターで、人間の眼に近い特性となっています。
新緑を明るく写したり、ポートレート*11撮影で肌や唇を落ち着かせるのに使います。
また、これとは別に赤外撮影用フィルターもありますが、ここでは説明は割愛し紹介のみとしておきます。

当然ですがこれらのフィルターを使うと光量も落ちるため、普通に撮影するときと比べて絞り*12を開けたりシャッタースピード*13を遅くする必要があります。
以前の記事で紹介した「PLフィルター」でも同様でしたね。
大まかな目安は「露出倍数*14」「フィルター係数」として段*15数が記載されていることが多いので、これを参考にしてください。
一般的には、イエロー(Y2)が1段、オレンジ(YA3)が2段、レッド(R1)が3段くらいですが、フィルターによって、そして被写体の反射光によって変わってきます。
あくまでも目安とお考えください。

5. まとめ


モノクロ用フィルターを使うことで、写真のコントラストを調整・強調することができます。
有効に使うことで、見た時の印象に近付ける、あるいはより独創的なイメージを作り出すことができます。
今は、デジタルでの画像処理で撮影後にお好みの調整ができますね。
デジタルカメラでモノクロ用フィルターを再現する設定が使用できる機種もあります。
ただ白黒にするだけでなく、どのように白黒に置き換えるか。色々と考えると、非常に奥の深い世界です。
白黒なのにカラーで考えなくてはいけないというのが、モノクロ写真の面白さ。
フィルターを使用しての撮影を実際に行うことで、写真をどのように仕上げるかイメージしやすくなるかもしれません。
デジタルカメラであればやり直しがいくらでもできますので、ぜひ試行錯誤しつつ楽しんでみてください。



*1 モノクロフィルムとは、白黒写真の写真フィルムのことをいいます。カラーフィルムと異なり銀粒子が写真を形成するため、独特の粒子感があります。
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*2 フィルターとは、レンズに取り付けることで様々な効果を得ることのできるアクセサリーです。レンズ前面に取り付けるもののほか、レンズに内蔵されているもの等があります。
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*3 デジタルカメラとは、撮像素子で撮影した画像をデジタルデータとして記録するカメラのことです。
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*4 RAW現像とは、デジタルカメラのセンサから出力された未加工のデータ(RAWデータ)をJPEGやTIFFなどの汎用画像ファイルに変換する処理のことをいいます。RAWデータはJPEG画像よりもデータ量が多いため、RAW現像では高画質な写真編集を行うことができます。
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*5 レタッチ(フォトレタッチ)とは、画像データを加工や修正のことです。
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*6 ホワイトバランスとは、光源の影響を打ち消したり、強調したりするために色味を変更する機能です。ホワイトバランスを調整することで、「自然な色」の再現のほか、作品としての「色作り」を行うことができます。
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*7 露出とは、記録される写真の明るさのことです。 露出はレンズの絞りやシャッタースピード、そしてセンサの感度により決まります。
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*8 彩度とは、色の三属性の一つで、鮮やかさを表します。無彩色では0で、純色で最大となります。
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*9 コントラストとは、最も暗い部分と最も明るい部分の輝度の差のことです。コントラストが高いとはっきりとした印象になります。
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*10 視線誘導とは、写真を見る人の視線を主題に引き寄せることを言います。構図の工夫や明暗差により行うことができます。
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*11 ポートレートとは、人物を主題とした写真のことをいいます。
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*12 絞りとは、レンズから入る光の量を調整する機構のことです。
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*13 シャッタースピードとは、シャッターが開いてから閉じるまでの時間(露光時間)のことをいいます。
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*14 露出倍数とは、フィルターなどによって減少する光量の補正値のことです。
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*15 露出の単位として、段が用いられることがあります。これは2倍もしくは1/2倍を1段とし、例えば「1段絞る」=「F値を約1.4倍にする」となります。
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